February 11, 2005

補足資料

ユネスコが1994年にはじめたEducating for a Sustainable FutureプロジェクトとEPDの関係

ユネスコは、リオデジャネイロでの地球サミットのAgenda 21やその他の国連機関の環境と開発をめぐるさまざまな提言を受けて、1994年に学際的なプロジェクト"Educating for a Sustainable Future"を実験的に発足させた。

その目的は、持続可能な未来を構築するために、各レベルの教育を通して人々の生活スタイルや行動の変化に影響を与えるための価値観や倫理観の普及を図ることである。
 
優先目標には、次ぎの6項目が上げられている。
第1 持続可能な開発のための教育を推進するため、国連に新たに関係機関の連携組織を設置する。
第2 国連持続可能な開発委員会が提唱するAgenda 21のChapter 36の推進のための教育、啓蒙、訓練などの事業計画の策定において主導的役割を担う。
第3 人口、環境教育を含む異なる学問領域を束ねる基盤として持続可能な未来のための教育(Education for Sustainable Future)の概念規定を開発する。同時に、持続可能な開発の視点を普及するために共に働く行為者を確定すること。
第4 モデル事業の開発
第5 環境、人口、開発(environment, population and development)に関わる地球的・地域的課題を解決にむけた地域や町レベルの行動の促進を図る。そこでは、いかにして最も効果的に人々を動員できるかに留意する。
第6 可能なかぎり多くの人々を巻き込み、草の根レベルまで到達するために、新しいコミュニケーション技術を活用する。また、都市、沿岸地域、島嶼、並びに 9大過密人口国(バングラデシュ、ブラジル、 中国、エジプト、インド、インドネシア、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン)を含む人口過密地域に焦点を当てること。

2001 年末までの状況を見ると、住民中心で持続可能な開発を達成するために、総合的手法にもとづく人口、開発、環境をめぐる諸課題に取り組むために、1994年 に「環境、人口、開発プロジェクト(Environment and Population Education and Information for Human Development=EPD)を発足させた。

さらに、当面の主要課題として5項目が上がられている。
第1 世界人口の急増と変化する分布
第2 止まるところを知らない貧困の拡大
第3 工業の世界的分散立地と農業技術革新による環境への負担の増加
第4 民主主義の否定、人権の侵害、民族的宗教的暴動や紛争、ジェンダー差別などの継続
第5 概念としての「開発」、その異義と測定方法


(2)現在の取り組み
ユネスコは、2002年12月の国連総会によって、ESDのリ-ドエイジェンシーに指名を受けて以降、国際実施計画の検討を意欲的に行い、その暫定版を 2003年6月にユネスコ加盟国の各国内委員会や国際機関に送り、意見を求めた。
その暫定版のタイトルと目次は、次ぎのようである。
題目
UNDESD: Framework for a Draft International Implementation Scheme(2003年6月)

目次
PREAMBLE: THE UNITED NATIONS RESOLUTION ON THE DECADE OF EDUCATION FOR SUSTAINABLE DEVELOPMENT 2005-2014

SECTION I : EDUCATION FOR SUSTAINABLE DEVELOPMENT
Meeting Millennium Development Goals
Education: Making the Abstract Real
The Four Domains of Education for Sustainable Development
Linking DESD to other International Educational Priorities
Key Themes in Education for Sustainable Development

SECTION II: A PARTNERSHIP APPROACH TO THE DESD
Partners
Principles for Developing Partnerships
Community-based Processes
National, Provincial and Local Government Processes
Regional Processes
International Processes
Monitoring
Communication and Advocacy

SECTION III: INITIATING THE DESD

 以下、概要を整理してみたい。
セクションIでは、ESDの基本的な捉え方を、以下の5項目にまとめている。
第1:ミレニアム開発目標が、ESDを進めるための基本的目標となることを明言する。と同時に先進国においても過剰な生産と消費の体制が、環境悪化の深刻化に影響したり、貧困状況の促進に加担していることにも注目することを指摘した。
第 2:持続可能な未来のための個人や社会の能力形成は、基本的に教育の問題であることを強調した。さらに、2002年のヨハネスブルグサミットで提言された 持続可能な開発の達成のための4大原理は、ユネスコのデュロア・レポート(1994)に述べられた「学習の4大柱」を踏まえたものである。
第3:ESDは、4つの領域に軸足をもつとする。つまり、基礎教育の普及と充実、持続可能な社会づくりに見合う教育制度の見直し、持続可能性に関する市民の関心と理解の増進、社会のあらゆる産業分野の関心の高揚のための職場研修の強化、である。
第4:DESDは、他の併行する国際的な教育開発関連政策との連携のもとに推進されなければならない。EFA(Education for All)とUNLD(United Nations Literacy Decade)が当面の2大プログラムである。前者は、Dakar Framework of Action(2002)において、「教育こそ持続可能な開発のための鍵である。」と明言している。また、UNLDの国連決議の中でも、「識字こそ、持続 可能な開発、平和、民主主義を実現する基礎である。」と述べている。
第5:DESDは、Education for All並びにUnited Nations Literacy Decadeの目標を踏まえ、カバーするテーマは、次のものが含まれる。貧困削減、ジェンダー、保健、環境保全、農村開発、人権尊重、異文化理解と平和、 持続可能な生産と消費、文化の多様性、情報コミュニケーション技術

上記の第1~5について、若干の補足説明が必要である。
ま ず、第2の中でのべられた「ユネスコのデュロア・レポート(1994)に述べられた「学習の4大 柱」を踏まえたものである。」という点である、ここに言う「学習の4大柱」とは、ドロール・レポート(1996)によれば、(1)learning to do(為すことを学ぶ)、(2)learning to know(知ることを学ぶ)、(3)learning to be(人間として生きることを学ぶ)、(4)learning to live together(共に生きることを学ぶ)である。つまりサミットの4大原理、挑戦すべき課題の認識、共通の義務と効果的連携、適格な判断に基づく行 動、人間の尊厳の尊重、は、それぞれ、知ることを学ぶ、為すことを学ぶ、共に生きることを学ぶ、人間として生きることを学ぶ、に該当するものであると説明 されている。つまるところ、持続可能な開発をめざすには、価値、行動、生活様式の変革を伴うものであることを強調している。なお、ドロール・レポートと は、J.Delors元ヨーロッパ共同体(EC)元議長(1985-95)、元フランス大蔵大臣を委員長に、ユネスコが編成した「ユネスコ21世紀教育委 員会」の答申である。英語版とその日本語訳版は、次の通りである。
The International Commission on Education for the Twenty-first Century ed.(1996) Learning: The Treasure Within, Paris: UNESCO Publishing.
天城勲完訳(1998)『学習:秘められた宝』ぎょうせい。

セクションIIでは、地域社会から国家レベルまで、ESDが、各々連携を保ちながら推進するための具体的な方策、例えば、NGOの組織化の重要性が展開されている。
セクションIIIは、DESD推進に当たって、10年間のスケジュールの概要と多様な機関の役割などが提案されている。